「太郎くんはA地点からB地点まで、行きは時速40km、帰りは時速60kmで運転しました。このときの平均の速さを求めなさい。」
この問題に初めて出会ったのは、私が小学校6年生のときです。
当時、即座に「時速50km」と答えて、それが間違いだったことが分かり、ショックを受けたことを覚えています。
正解を見ると「時速48km」になっていて、何がなんだか訳がわからなくなってしまいました。
しかも、この本というのが「算数パズル」というもので、詳しい解説等一切載っていなくあるのは「時速50kmではないよ。」というものだけで、悶々とした日々をしばらく過ごすことになったのでした。
まあ今思うと、解説がなかったからこそ、悔しい思いをしてこうして考えることができたのだと思い、今ではそのことに感謝をしています。
当時の私の頭の中には、「60と40という数字だけで、どうやって48という数字が作れるんだ?できるわけないじゃないか。・・・待てよ、往復といってもすぐに戻ってくるわけないので、B地点での待ち時間があって遅くなるのだろうか?いやいやそんなことはない。」といった考えが頭の中をぐるぐる廻っていました。
そして、数日経った時にある考えが私の頭の中をよぎったのです。
「東京から札幌まで、行きは時速800Kmの飛行機に乗り、帰りは時速1mのカタツムリだった場合、果たして平均時速は400kmになるのだろうか?」というものです。
当然なるわけありません。それどころか、100年経っても往復することすらできません。
このことに気づいた時に、私は「平均時速が50kmではない」ことに初めて納得したのでした。
そして、それから数日後、自分で答えを導くことができて感動したことを覚えています。
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この問題は、開校当初のホームページやチラシ広告にも掲載したことがあるのですが、多くの方からの反響がありました。
塾生、塾生の兄弟、塾生の保護者、友人などから「何故時速48kmなんですか?」という問い合わせ等が寄せられました。
中には「うちには子供はいないのですが・・・」と言って電話を掛けてくれた方もいました。
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それでは、今後算数(数学)が伸びる人の特徴を1つだけお伝えしたいと思います。
それは、「時速48km」と聞いて、「ええっ何で?」と思ってくれる人です。
この気持ちがあれば、大丈夫です。 小林