多くの生徒はきっと「ゲーム」と答えるでしょう。
この気持ちはよくわかります。私だって、興味のない哲学書を読むよりは、趣味の将棋をやっているときの方が何倍も楽しいです。
それでは、読書の魅力といったらいったい何なのでしょうか?
「魅力なんてないよ」と言う生徒もいるかもしれません。
確かに「読解力をつける」「親や先生に読めと言われた」こんな理由のみで嫌々読まされる読書ほど苦痛なものはありません。
どうせなら少しでも楽しい気持ちで読書に親しんで欲しいものです。
そこで私は考えました。「読書の魅力というのは今だけのものではない」ということを。
これはどういうことかと言うと、どんなにエキサイティングなゲームをやっても、そのほとんどは1ヶ月後には忘れてしまっています。
仮にゲームをしていたという事実は覚えていても、「あのときのあの場面は楽しかった」なんていう思い出はほとんど消えてしまっているのです。
しかし、読書の場合は、良い本と出会うとその感動はいつまでも覚えているものです。
これはお金で買うことのできない貴重な財産だと思います。
本を読んでいる最中の感動はさほど大きくなくても、この先ずっと心の中に残っているもの、これこそが読書の魅力なのではないかと私は思います。
話は変わりますが、生徒のみなさんは、大人になったら時間やお金の余裕がある限りいろいろなところに旅して欲しいと思います。家族や友達等大好きな人達との旅行は一生の財産になります。
旅行をしている最中は、はっきり言っていつもすごく楽しいわけではありません。
むしろ好きなゲームをやっている方が楽しいでしょう。
しかし、旅行も読書と一緒で、そのときの楽しさが少なくても、一生思い出として心に残るものです。
大人の中にも、芸術・読書・スポーツ・旅行等を楽しんでいる人もいれば、アルコールやパチンコ等にはまってしまう人もいます。
その一瞬の楽しさは後者かもしれませんが、どちらの方が人生を楽しんでいるかと言えば前者であることは一目瞭然です。
今、目先の快楽だけを求めて行動をしていると、大人になってもそのような思考になってしまう可能性が高くなってしまいます。
是非「生涯の財産」になるような楽しみを生徒のみなさんには見つけてもらいたいと思います。
P.S. 先日大学時代のミニ同窓会に行ってきました。しばらく会っていないメンバーが10人ほど集まったのですが、これはゲームのようなその場の興奮と、一生の宝の両方を得たような気がしています。 小林