この30年間で、子供の数は大きく減ってきています。
そうすると「入試も楽になるのでは・・・」と思われるかもしれません。
しかし、実際は中学入試、高校入試、大学入試によって状況は違ってきます。
これについて簡単に触れてみたいと思います。
◎大学入試
難関校を除いて、全体的に入りやすくなっています。
学校を選ばなければ、ほとんどの生徒がどこかしらは行くことができ、定員割れの大学も多く見受けられるようになりました(特に文系)。
これは大学側にとっていいことではないのですが、1つ昔より良くなった部分があります。
それは、「以前に比べて、目的を持って大学に行く人が増えた」ということです。
私の時代には、大学に入ること自体が目標でその先をあまり考えていない人も多かったのですが、今は「将来〇〇になりたいのでこの大学にした」という人がとても多くなってきています。
そういう学生が増えると、当然真面目な人が多くなってきて、これは素晴らしいことだと思います。
◎中学入試(私立)
以前に比べてかなり入りやすくなってきています。
これは児童の数が減ったことに加えて、ここ10年で県内の私立中学がぞくぞくと開校したこととも大きく関係します。
中学受験のために全てを犠牲にして、週4日、5日と塾に通い詰めるというのもだんだんと薄れてきて、今では習い事等と並行して受験も頑張るという児童も増えてきています(但し難関校については昔も今も同じです)。
また、公立中高一貫校が開設されたことの影響も受けています。
現在のところ県内の公立中高一貫校は「さいたま市立浦和中学」と「伊奈学園中学」の2校だけですが、平成31年度(現小4)から「大宮西高校の中高一貫校(名称は未定)」も開設される予定です。
このようなことから、しばらくは私立中学入試は易化していくと言えそうです(ただし公立中高一貫校は倍率も高く簡単ではありません)。
◎高校入試(公立)
実はこれに関しては、全く楽になっているわけではなく、むしろ大変になってきています。
「生徒が減っているのに何故・・・?」と思われるかもしれませんが、それは生徒数に合わせて募集数を減らしたり、高校自体を減らしたりしているからなのです。
しかし、1つの高校をある日突然閉鎖するということは大変なことです。
もし仮にだったそれが有名校だった場合、それこそ社会問題になってしまうでしょう。
それで、結局閉鎖される所というのは、底辺近くのいわゆる入りやすい高校ということになってしまうわけです。
実際は「統合」といって2つ以上の高校が一緒になるという形式になる場合がほとんどですが、実質閉校とは何も変わりません。
そういうわけで、特に下位に位置している生徒にとっては、以前よりも厳しい入試になってしまっていると言えるでしょう。
ちなみに私立高校については以前との差をあまり感じませんが、中学任せにできなくなっている現状(埼玉県では、中学校と私立高校との入試相談等の接触が禁止されている)では、自分たちで動いていかないといけないという部分でやや大変になっているのではないかと思います。 小林